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  • 執筆者の写真成田悦子

The End of the Affair Graham Greene 成田悦子訳 BOOK ONE Ⅰ

何故彼に話しかけるべきだったか?一時(いっとき)でも憎悪が大きく広がらなければ、どのような人間への告発の中でも使えない。僕はヘンリーを憎んだ―僕は彼の妻サラーもまた憎んだ。そして彼は、僕は推察する、あの晩の出来事の後、間もなく、僕を憎むために現れた。彼は確かに折々に、彼の妻やその他の者を憎むしかなく、あの当時、誰かを信じるに足りず、僕たちは幸運だった。そう、これは愛についてというより断然、憎悪の記録である。よってもし僕がヘンリとサラーの好意に甘えて、何か言うために登場すれば、僕は期待に応えましょう。僕は偏見を向こうに回して書いている。何故なら、近い―真実、僕の近い―憎悪の表明でさえ、選ぶことは僕のプロフェッショナルな自負だから。

 こんな夜に外でヘンリに会うのは、思いがけなかった。彼は彼の慰めとなる人を好み、つまるところー或いは寧ろ、と僕は思った―彼はサラーを所有した。僕にとって慰めは、悪しき場所か時の、悪しき記憶に似ている。人は寂しければ、人は苦痛に寄り添う。僕が不道徳をして過ごしたベッドゥの中にも、居間ー南ー公有地の横、他の人々の調度の名残りの中に、あり余るほどの慰めがあった。

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それが主教の軍隊の残された全てだったー彼のブラス・バンドゥー、が行進を率いた、それに連隊長の命令によって敬虔なフランス人将校らが、大聖堂の構内へと入口を通って、大聖堂の前の小さな湖の島に立つ神聖・ハートゥの白い像を過ぎ、ベル・タウアの下で東洋風の翼を広げる事と共に、たった一本の木から形作られたその巨大な支柱と祭壇の緋色の漆細工を持ち、クリスチャンより多いブディストゥらが、彫刻された木造の大聖堂の中

将校の家の正面の壁が吹き飛ばされ、通りの向こう側の家々は廃墟になっていた。ナム・ディンから川を下りながら、何があったかペラウドゥ中尉から僕は教えて貰った事がある。彼は真面目な若者、フリーメイスン、そして彼にとってそれは彼の会員達の盲信への審判に似ていた。ファトゥ・ディエムの主教は嘗てイウアラプを訪れ、そこでファティマの聖母マリアに対する信仰を得たー姿を見せた聖母マリアの有様、だからロウマン・カサリ

僕は夜明け前にナム・ディンから上陸用舟艇で入った。僕達が海軍基地上陸できなかったのはそこは60ヤーズの範囲を完全に包囲した敵によって切り離されていたから、そこでボウトゥを上げて燃え上っている市場の側に駆け込んだ。僕達は炎の明かりの中で容易な的だったがある理由のために誰一人燃えなかった。全ての物が燃えている露店のドスンと倒れる音とパチパチという音を除いて。川の辺でセニガールの歩哨が彼の構えを変えるの

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