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  • 執筆者の写真成田悦子

The End of the Affair/Graham Greene 成田悦子訳


 貴女が左手側のメイドゥン・レインを上ると、そこに出入口と、互いに一言もなく僕たちが通り過ぎた格子(排水口)がある。初めての食事の後、僕がヘンリの性質について尋ね、彼女が僕の関心に好意を寄せた時、僕は地下鉄に向かう途中、そこでかなり不器用に彼女にキスをした。何故僕がそんなことをしたか、僕には分からない。多分鏡の中のその画像が、僕の心の中に入り込まなければ、と言うのも僕は彼女に好意を寄せるつもりはなかったから。僕はもう一度、彼女を捜すつもりさえ特になかった。彼女は余りにも美しく、近寄ろうとする思いで僕をわくわくさせた。

 僕たちが座った時、昔馴染みのウエイタの一人が僕に言った。「貴方がこちらにいらっしゃってから、ほんとに久し振りです、サー。」それにしても僕はサラーに僕の事実に反する主張をしなければよかった。

 「オウ。」僕は言った。「僕は最近二階で昼食を摂っています。」

 「それに貴女、奥様、またまたお久しゅうございます・・・。」

 「二年近く。」彼女は僕が時々嫌がる正確さで言った。

 「ところが私は、覚えています。貴女が何時も好んだのは大きなラーガーだった。」

 「貴方がたは、素晴らしい記憶力で感動させるわね、アルフレッドゥ。」すると彼はその記憶振りに満足してニコニコ微笑んだ。彼女は何時もウエイタたちと仲良くやる芸当を持っていた。

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それが主教の軍隊の残された全てだったー彼のブラス・バンドゥー、が行進を率いた、それに連隊長の命令によって敬虔なフランス人将校らが、大聖堂の構内へと入口を通って、大聖堂の前の小さな湖の島に立つ神聖・ハートゥの白い像を過ぎ、ベル・タウアの下で東洋風の翼を広げる事と共に、たった一本の木から形作られたその巨大な支柱と祭壇の緋色の漆細工を持ち、クリスチャンより多いブディストゥらが、彫刻された木造の大聖堂の中

将校の家の正面の壁が吹き飛ばされ、通りの向こう側の家々は廃墟になっていた。ナム・ディンから川を下りながら、何があったかペラウドゥ中尉から僕は教えて貰った事がある。彼は真面目な若者、フリーメイスン、そして彼にとってそれは彼の会員達の盲信への審判に似ていた。ファトゥ・ディエムの主教は嘗てイウアラプを訪れ、そこでファティマの聖母マリアに対する信仰を得たー姿を見せた聖母マリアの有様、だからロウマン・カサリ

僕は夜明け前にナム・ディンから上陸用舟艇で入った。僕達が海軍基地上陸できなかったのはそこは60ヤーズの範囲を完全に包囲した敵によって切り離されていたから、そこでボウトゥを上げて燃え上っている市場の側に駆け込んだ。僕達は炎の明かりの中で容易な的だったがある理由のために誰一人燃えなかった。全ての物が燃えている露店のドスンと倒れる音とパチパチという音を除いて。川の辺でセニガールの歩哨が彼の構えを変えるの

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