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The End of the Affair/Graham Greene 成田悦子訳

執筆者の写真: 成田悦子成田悦子

 「彼女は彼女は映画館にいるの?」僕は尋ねた。

 「ああ、いや、彼女は今までほとんど行ってないよ。」

 「彼女は何時も行ってたんじゃ。」

  ポンテフラクトゥ入江は、今尚紙の長い旗や紙のベルや市場の華やかさを偲ばせるもの、藤色やオリンジでクリスマスのために飾られ、若い女主人は彼女の客を軽く見て、彼女の胸をバーに凭せかけた。

 「素敵。」ヘンリが言った、そのつもりもなく。幾分当惑した様子、臆病で、彼の帽子を掛ける所を探して、辺りをじろじろ見た。彼が以前、パブリック・バーに行った中で最も近いのは、彼が省の彼の同僚と一緒に、昼食を食べたノーサムバーランドゥ・アヴェニューから離れた焼き肉リストゥラントゥだった、という印象を得た。

 「貴方は何を飲みますか?」

 「僕はフイスキでかまわないよ。」

 「僕も。だけど貴方はラムを付き合わなければいけませんよ。」

  僕たちはテイブルに座り、それぞれののグラスを弄んだ。僕はヘンリに言わなければならないことは、さほどなかった。もし僕が1939年に、主役として古参の文官を扱った小説を書き始めていなければ、ヘンリもサラーもよくよく知ろうとして、骨を折ろうとしたかどうか、僕は疑わしく思う。ヘンリ・ジェイムスは嘗て、ウオルタ・ベサントゥとの討論の中で、十分な才能を持った若い婦人は、近衛連隊の兵舎の食堂の窓をひたすら越える必要があり、近衛歩兵旅団に纏(まつ)わる小説を書くために、内部に目を向けるにしても、彼女の編の或る場面では、もし単に詳細に関して照合するつもりなら、彼女は近衛連隊と寝る必然性を探ろうとしただろうに、と僕は考える。

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