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The End of the Affair/Graham Greene 成田悦子訳

  • 執筆者の写真: 成田悦子
    成田悦子
  • 2022年6月21日
  • 読了時間: 1分

 「貴女は、僕を愛している。」

 「どうして決め付けるの?」 

 「深く考えないで。僕は、僕と一緒に遠くへ行くよう貴女に頼みたい。」

 「でも、モーリス、私は、電話でも上手に答えられるわ。答えは、いいえ。」」

 「僕は、電話で貴女に触れることは出来ない、サラー。」

 「モ-リス、私の愛しい人、どうか。貴方は来ないと約束して。」

 「僕は出掛けるよ。」

 「聞いて、モーリス。私は、酷く具合が悪いと思うの。」

 「それに今夜は痛みが酷いの。私は起きたくない。」

 「貴女が、そうする必要はない。」

 「私が起きて、服を着て、家を出ることにします、もし貴方が約束しないのなら・・・」

 「このことは、サラー、僕たち二人には風邪より大切だ。」

 「どうか、モーリス、どうか。ヘンリが間もなく家に戻るの。」

 「彼をいさせるといい。」僕は、電話を切った。

 それは、僕が一か月前ヘンリに会った時より、悪天候の夜だった。この時、それは雨の代わりに霙(みぞれ)だった。それは、雪への途中で、縁取られた滴りが、誰かのレインコウトゥのバトゥンホウルを抜けて、中へとその道を切り取るかのようだった。それは、共有地のラムプを覆い隠した。だから、それだけで、走るのは難しく、僕の足では、とうてい速く走れる筈がない。

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