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The End of the Affair/Graham Greene  成田悦子訳

  • 執筆者の写真: 成田悦子
    成田悦子
  • 2022年1月5日
  • 読了時間: 2分

19  彼は憤慨して言った。「それに僕は何時も、貴方は彼女の友人だと思っていた。」まるで手紙を書いたのは、僕だったかのように。

 「勿論。」僕は言った。「貴方は、僕がこれまで要したよりずっとたくさん、彼女を知っている。」

 「いろんな手段で。」彼は憂鬱そうに言い、それで僕は、僕が彼女を最高に知った、その真の手段を考えていたのだと分かった。

 「貴方は僕に尋ねた、ヘンリ、もし貴方が愚か者だと僕が思っていたらと。僕はただ、その思いの中に、馬鹿にしたものは何一つない。僕はサラーにも、何も言ったことはない。」

 「僕には分かっている、ベンドゥリクス。ごめん、僕は近頃、十分眠っていない。僕は夜中に目覚めた。この不快な手紙をどうすべきか、全く見当がつかなくて。」

 「それを燃やせばいいじゃないか。」

 「僕に出来たらなあ。」彼は未だ彼の手に、それを持っていたので、一瞬、僕は彼がそれを燃やすつもりだ、と真底思った。

 「それとも、行ってサヴィッジに会えば。」僕は言った。

 「だけど、僕は彼に、彼女の夫ではないような振りが出来ない。全く考えてもみてくれ、ベンドゥリクス、他愛もない嫉妬に駆られたどの夫も、同じ戯言を口にしながら座った一つの椅子に収まって、机の前のそこに座っているしかないことを・・・そこには待合室があって、だから僕たちが通る度に、僕たちには互いの顔が見えるって、貴方に想像出来る?


 
 
 

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