top of page
検索

The End of the Affair/Graham Greene  成田悦子訳

  • 執筆者の写真: 成田悦子
    成田悦子
  • 2021年12月30日
  • 読了時間: 2分

更新日:2022年1月6日

 「僕は分からない、ヘンリ。」

 僕はこの男宛に書き、僕の家族の知人が、私立刑事斡旋所についての僕の忠告を頼みにしている、としておいた。。そりゃあ、ぞっとするよ、ベンドゥリクス。彼は表向きの理由を通して見破らなければならなかった。

 「貴方は実際そのつもりで・・・?」

 「僕はそのことでは、少しも動かなかった。」それでもその手紙は、僕に思い出させながら、僕の机の上の、そこでじっとしていた。それはひどく馬鹿げているから、それを読もうともしない彼女を、信用出来るとは思えないでしょ。彼女は一日に十二回もここに入るのに。僕は引き出しの中に、それを仕舞い込んだりしない。それでも未だ、僕は信用出来ない・・・彼女は今、散歩に出ている。徒歩、ベンドゥリクス。」雨は彼の防具にも浸透し、ガス灯の方へ彼の袖の縁を向けたままにした。

 「貴方は何時も、彼女の特別な友だちだった。ベンドゥリクス。誰もが決まって言う、誰もではないが、夫は、女性というものを知る、実に最後の人物であると・・・僕は今夜思った。共有地で貴方を見かけた時、もし僕が貴方に話して、貴方が僕を笑ったら、僕はその手紙を焼いてしまえるのにと。」

 彼はそこに彼の湿った腕を伸ばしたまま、僕から目を反らしながら座った。僕は笑いたくないとは、思いもしなかった。それどころか、出来るなら、笑いたかった。

17


 
 
 

最新記事

すべて表示
Good-bye to All That Robert Graves 成田悦子訳

XⅢ ここに僕が当時書いた手紙からの抜粋がある。僕は場所の名前を復元した、僕達はそれに触れることを禁じられた:ー  5月21日、1915。ラ・ブアスと呼ばれた石炭‐採掘村の兵士宿舎に戻る。それは前線から3マイル以上はないが、坑夫は今なお働いている。僕達が塹壕から遠のくにつれ...

 
 
 
Good-bye to All That Robert Graves 成田悦子訳

Ⅻ 1916に、負傷後ハーレックで休暇中、フランスでの僕の最初の数ヶ月の清算を始めた。愚かにも小説のようにそれを書きはしたが、僕は今それを歴史書に書き換えなければならない。ここに構成し直した章がある。  フランス到着時、我々6名の王室ウェルシュ・フュージリア士官はル・アーヴ...

 
 
 
Good-bye to All That Robert Graves 成田悦子訳

しかし3、4人を除いては、誰も大隊司令官によって直接推奨された者はいないだけでなく、隊或いは師団の隊員への攻撃をする間に自ら名を上げた、さもなければ誰もが新陸軍大隊か他の連隊に送られ、僕達は依然として 叙勲されなかった。僕はたった3つの例外だけ思い起こせはする。表彰の通常の...

 
 
 

Comments

Rated 0 out of 5 stars.
No ratings yet

Add a rating
bottom of page