BOOK THREE
Ⅰ
・・・何もかも通り過ぎる、そうして私たちは終わってしまった。貴方(神)以外は。私たちのどちらかの所為ね。私は、ひと時、ささやかな恋心を、費やしながら、それを、こちらへ又あちらへと外へ向かって、この男そしてあの上へと手を伸ばしながら、命ある時を夢中で過ごしたのかも知れない。けれども初めての時でさえ、パディントンに程近いホテルで、私たちは、私たちに備わる全てを出し尽くした。貴方(神)が裕福な人に教えるように、私たちに浪費することを教えようとして、貴方(神)は、そこにいた。その結果、或る日、私たちには、この貴方(神)という愛以外、何も残っていなくてもよかったのに。何れにせよ、私には貴方(神)は立派過ぎた。私が苦痛の為に、貴方(神)を頼みにすると、貴方(神)は、私に安らぎを下さった。それを彼にも上げて下さい。彼に私の安らぎを上げて下さい―彼はそれをもっと必要としています。
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