それからラムプの灯かりの中に歩み寄った。彼の左頬を覆った重症の青黒い痣(あざ)は、凡そ非凡の焼き印と見紛(みまが)うばかりだった。―僕は彼に敵意を持って来たものの、彼は、どんな鏡で自分を見たところで、露ほども慢心する筈がない。
ミス・スマイズは言った。「私の兄弟は、リチャドゥ。ブリジス氏。ブリジスさんのお子さんの具合が良くないの。私がこの人たちに、入るようお願いしたの。」
若者を見やりながら、彼は握手した。僕は彼の手の渇きと熱に気が行った。彼は言った。「僕は、以前貴方のとこの若者を見掛けました。」
「共有地で?」
「おそらく。」
彼は部屋のわりに、余りにも力強かった。
クレトン更紗とは、釣り合いがとれない。彼の妹が、ここに座るのか、それにしても彼らは、他の部屋で…或いは、彼らが愛を育む間、彼女を使いに出すのか? ところで、僕はその男を見ていた。そこには留まりたいものは微塵もなかった。何故なら―今、彼の出現によって放免された様々な疑問の全てを除いたから―何処で彼らは出会ったのか?彼女が初め主導したのか?彼女は彼の中に何を見たのか?如何に長く、如何に頻繁に、あの二人は愛人関係にあったのか?そこには、僕が魂によって身に付けた彼女が書いた言葉があった。「貴方に書く或いは貴方に話す必要が何もなくなった。・・・私は恋し始めているだけ、と知っています。それにもかかわらずもう、私は、貴方を除いた全ての物と人を捨てたい。」
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