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執筆者の写真成田悦子

The End end of the Affair/Graham Greene 成田悦子訳

もし私が、彼を安心させられさえしたら、それで私たちは、穏やかで、幸福で、無作法でも不摂生でもなく愛せる。そうして不毛の地は、視野から後退する。命ある内は、多分。

 もし人が神を信じられるとしたら、彼は不毛の地を満たそうとするか?

 私は、何時も良く思われ、褒められたがった。例えば一人の男が、私の方を振り向けば、例えば一人の友だちを失えば、私は酷い危険を感じる。私は夫を手放せもしない。私は全てが、全ての時が、何処も彼処(かしこ)も欲しい。私は、不毛が怖い。神は貴方を愛し、彼らは教会で、神が全てです、と言う。賞賛を必要としないということを信じる人々、彼女たちは男と一緒に眠ることを必要とせず、彼女たちは安心感を得る。しかし、私は信用をでっち上げられない。

 丸一日、モーリスは、私に思いやりを見せた。彼は、私にしょっちゅう他の女をこんなにも愛したことはない、と私に話す。彼は、そう頻繁に口にすることで、彼は、私にそれを信じ込ませようとする。何れにせよ、私が単純にそう信じるのは、丁度同じように、私は彼を愛すから。もし私が彼を愛すのを止めたら、私は、彼の愛情を信じるのを止めようとする。もし私が神を愛したら、私への彼の人の愛を信じようとする。それを必要としても、それでは十分ではない。私たちは、先ず愛さなければならないのに、どうしていいか分からない。それでも、私はそれを必要とする、どれ程、それなしでいられない。

 終日、彼は優しかった。只一度だけ、一人の男の名前が気になり、私は、彼の眼差しがあらぬ方向に動いたのを見た。私が他の男と未だに眠る、と彼は思い、そしてもしそうしたら、それは、それ程重大なことだろうか?

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